――標準模型を理解し,それを超える物理へ進むために.
場の量子論を前提とせず,特殊相対性理論と量子力学を出発点に,素粒子物理学と標準模型を学ぶ入門書.数学的な知識も最小限に留められており,初学者でも全体像の理解に集中できるよう工夫されている.
ニュートリノ振動やヒッグス粒子の発見といった近年の成果まで,実験的な観点も織り交ぜて解説.ただ理論を知るだけではなく,それがどのように裏付けられているかと結びつけて学ぶことができる.
最終章では,標準模型が説明できない未解決の問題を紹介.標準模型を超える物理を探索する手がかりが示されている.
場の量子論の名著でも知られる著者による,必読の一冊.
[原著]Concepts of Elementary Particle Physics (Oxford University Press, 2019)
第Ⅰ部 準備と道具
1 導入
2 時空の対称性
3 相対論的波動方程式
4 水素原子とポジトロニウム
5 クォーク模型
6 素粒子の検出器
7 計算のための道具
第Ⅱ部 強い相互作用
8 電子-陽電子対消滅反応
9 深非弾性電子散乱
10 グルーオン
11 量子色力学
12 パートンとジェット
13 ハドロンコライダーにおけるQCD
14 カイラル対称性
第Ⅲ部 弱い相互作用
15 弱い相互作用のカレント-カレント模型
16 自発的対称性の破れをもつゲージ理論
17 WボソンとZボソン
18 クォークの世代間混合角と弱い相互作用による崩壊
19 CP対称性の破れ
20 ニュートリノ質量と世代間混合
21 ヒッグスボソン
第Ⅳ部 エピローグ
22 エピローグ
付録A 表記法
付録B 換算因子と物理定数
付録C 素粒子の生成消滅公式
付録D 散乱断面積と部分幅のマスター計算公式
付録E ハドロン衝突反応に対するQCD公式