多分野の理論・技術の上に成り立つ燃焼学。その基礎を流体力学や反応動力学を未習熟の方でもわかるようにていねいに解説します。
発火のメカニズムの化学的理解、さまざまな燃焼形態の特性と実現方法、排出物の削減方法、温度の計測方法。燃焼学の網羅的な基礎知識が身につきます。
・ロケットの推進に必要な高エネルギーを得る。
・ガソリンエンジンのノッキングの発生を抑止する。
・窒素酸化物の排出を規制値以下に抑える。
これらのために現代の技術者や研究者に求められる、迅速に化学反応を完結させ、効率よく熱を発生させ、汚染物質の排出を抑える技術の土台を築くことができます。
◎本書の構成
第1~3章では、燃焼現象の基礎理論を学びます。
燃焼が開始する発火のメカニズムと、燃料や火炎の特性を理解することで、燃焼の時間や得られる温度、単位時間あたりの反応量がどのくらいになるのか、また、適切に燃える燃料と空気の比はいくらか、などを求められるようになるための基礎を解説します。
第4章では、さまざまな燃焼形態について学びます。
液体と固体の燃料を混ぜたときの不均一燃焼や、ガソリン機関やディーゼル機関、各種工業炉バーナなどで行われている非定常燃焼、高速推進機関にかかわる超音速燃焼などの特性を一つひとつ述べていきます。
第5章では、燃焼排出物について学びます。
燃焼によって排出される環境汚染物質である窒素酸化物やすす。その生成メカニズムと、希薄燃焼や水・水蒸気噴射といった低減法をみていきます。
第6章では、燃焼現象の計測手法について学びます。
熱電対やガスクロマトグラフィーといった、旧来から使われ続けている、古典的手法について詳しく解説し、近年発達しているレーザーを用いた計測法について、代表的な手法の名称と簡単な原理を紹介します。
巻末の「発展」では、理論の補足として、発火に関するFrank-Kamenetsukii近似や、拡散火炎に関するFlame Sheet Model、燃焼速度に関する漸近解析のさわりを学習します。この理論を習得することで、第3章と第4章に記述した燃焼現象への理解をより深めることができます。