おなじ物語を異なる言語で語るように、
おなじ情景を異なる技法で描き分けるように、
おなじ定理を異なる方法で証明すると、どんな世界が見えるのだろう?
この一見無謀な試みを具現化したのが本書である。
レーモン・クノーの『文体練習』に着想を得て書かれた本書では、ある何の変哲もない定理を、中世ヨーロッパ時代の証明、現代数学を駆使した証明、言葉を使わない証明、音楽による証明、映画のシナリオ風の証明、手話による証明、サイケデリックな証明など、99通りもの方法で「証明」する。
本書で紹介する99通りの「証明」は、厳密に正しいもの、証明とはよべないもの、証明することをはなから放棄しているものなど、現代数学の方法論として見れば玉石混交かもしれない。しかし裏を返せば、本来数学がそれだけの多様性を備えていることの証ともいえる。
そう、物語の語り方がさまざまであるように、絵の描き方がさまざまであるように、証明、つまり数学の在り方は決して一つではない。数学はもっと自由なのだ。
0 省略された
1 一行の
2 二列の
3 図による
4 初等的な
5 パズル風の
6 公理的な
7 発見された
8 必修科目風の
9 単音節の
10 言葉抜きの
11 試験
12 定規とコンパス
13 背理法による
14 対偶による
15 行列による
16 古代の
17 解釈された
18 ギザギザの
19 専門用語による
20 定義による
21 黒板
22 代入による
23 対称性による
24 もう一つの対称性による
25 開かれた協働
26 聴覚による
27 アルゴリズム的な
28 フローチャートによる
29 模型による
30 公式による
31 反例による
32 もう一つの反例による
33 微積分学による
34 中世の
35 活字組みによる
36 ソーシャルメディア
37 予稿による
38 式の列挙による
39 折り紙
40 帰納法による
41 新聞風の
42 解析的な
43 シナリオ風の
44 熟慮の末省略された
45 口頭での
46 キュートな
47 気の利いた
48 コンピュータを用いた
49 部外者による
50 色による
51 トポロジー的な
52 古色を帯びた
53 傍注付きの
54 樹状の
55 前置記法による
56 後置記法による
57 電卓による
58 発明家のパラドックス
59 特許風の
60 幾何学的な
61 現代風の
62 軸測投象的な
63 封筒の裏の
64 研究セミナーでの
65 お茶の時間
66 手振りによる
67 近似による
68 文章題
69 統計的な
70 もう一つの中世の
71 ブログによる
72 英語以外の言語による
73 英語以外の別の言語による
74 英語以外のさらに別の言語による
75 計算尺を使った
76 実験的な
77 モンテカルロ法による
78 確率的な
79 直観主義的な
80 偏執狂的な
81 狂詩風の
82 矛盾による
83 親書による
84 表による
85 取り尽くしによる
86 もう一つの代入による
87 力学的な
88 対話による
89 独白による
90 逆行による
91 神秘主義的な
92 査読された
93 新造語を用いた
94 権威に寄りかかった
95 一人称による
96 静電気学による
97 サイケデリックな
98 語呂合わせ
99 指示による