量子計算機(量子コンピュータ)の研究開発が急速に進む昨今、従来の計算機の能力を前提に設計されている「暗号技術」に見直しが求められている。大規模量子計算機の実現後も安全な公開鍵暗号は、どうすればつくれるのか。この課題に挑むべく誕生した「耐量子計算機暗号」(Post-Quantum Cryptography)は、近年成長が著しい一大研究分野となっている。
本書は、耐量子計算機暗号を包括的かつ技術的に解説した、初の専門書である。暗号理論全般および量子計算への入門的解説から紐解き、安全性評価の具体例も紹介しながら、多彩な耐量子計算機暗号の試みを取り上げる。