AIとロボットの時代に、大学は何を提供するのか?
人工知能(AI)とロボット技術の進化は、「ホワイトカラー大失業」の時代をもたらすといわれる。産業構造の大変革に直面した人々を助けてきたのは、いつの時代も教育だった。AIとロボットが席巻し始めた現在、「大学」には何ができるのか? 大学はいかにして、AI化・ロボット化した社会・経済を闊歩できる人材、つまり「ロボット・プルーフ(Robot-Proof)」な卒業生を輩出できるのか?
この挑戦で先陣を切るのが、アメリカ東海岸の名門校、ノースイースタン大学だ。従来の専門知識に加え、大学で身につけるべき「新しいリテラシー」を定義し、とくに実世界に出て行う「経験学習」を重視。世界中の130か国・3000社以上の企業に学部生を送り出す「コーオププログラム」、分野の垣根を越えた高度な専門科目を学べる生涯学習プログラムなど、先進的かつ大胆な同大学のアプローチは世界中からの注目を集めている。本書では、その先頭に立つアウン学長が、アメリカ建国以来の大学制度の歩みを踏まえたAI時代の大学像を提示し、同大学の取り組みを紹介する。
「AIに代表される急速な技術革新が進む現代、この変化を難題とするのか好機とするのか――高等教育はその岐路に立つ。人間ならではの教育とはどうあるべきか、創造性やアントレプレナーシップ、経験学習、異文化アジリティ、生涯学習など数々の鍵となる概念を軸に、高等教育がどう変わるべきかを具体的かつ堅実に論じ、価値を発揮していくための方向性を指し示す。自分には遠い話…と思う人にこそ手にとって欲しい。」
――栗田佳代子(東京大学 大学総合教育研究センター 副センター長)
「大学が歴史に残る転換期のただ中にいることにどれだけの人が気づいているだろうか。AI時代を生き抜く学生を育てる場に大学は変われるのか。あなたがこれから5年以上大学で教え続けるのなら、この問いと真摯に向き合わねばならない。本書は、AIの可能性と限界を描くとともに、この問いに向き合う意欲的な大学事例を紹介している。未来の大学教育のあり方を考えるヒントに満ち溢れた一冊だ。」
――佐藤浩章(大阪大学 全学教育推進機構 准教授)
[原題] Robot-Proof: Higher Education in the Age of Artificial Intelligence (by Joseph E. Aoun)
第1章 ロボットがもたらす未来への懸念
第2章 経営幹部からの視点:雇用者は何を求めているか
第3章 未来の学びのモデル
第4章 経験がもたらす違い
第5章 人生を通じた学び