●コンピュータが行う「計算」と,人間やコンピュータが使う「言語」の本質を解説●
本書は,コンピュータの動作のもっとも原始的な考え方であるオートマトンと言語理論について,基本事項に絞ってやさしく解説した教科書です.
前半では,計算の本質を抜き出して抽象化したオートマトンの考え方を示し,有限オートマトン,チューリング機械など各種のオートマトンの能力とその限界を説明します.後半では,言語をつくるルールである形式文法という概念を示し,その代表例として正規文法,文脈自由文法を説明します.そのうえで,別々の考え方であるオートマトンと形式文法が,実はよく似たものであることを示します.
掛け算を認識するオートマトンや,英文を定める形式文法のようにイメージしやすい具体例を載せることで,直観的に理解できるように書かれています.数学的に厳密な説明を抑え,本文を読めばわかるようにまとめました.情報科学分野の教科書として,また独習書としておすすめの一冊です.