このシリーズでは,「現象をよく観察し,そこから一般的な法則をみつけ出す」という物理学の本領に立ち返って,これまでに出版されている物理の本とはひと味違ったスタイルをとった.まず「第1部 現象から理論を予測する」があり,紙上実験を通して現象を考える.つぎに「第2部 数学編」で物理学に必要な数学を学ぶ.最後に「第3部 物理編」で物理の理論をまとめる.本書「力学II」は,既刊「力学I」の続編として2次元以上の運動をあつかう.人工衛星の軌道を調べて円運動について考察する,ケプラーの仕事を追体験して惑星の運動理論を明らかにする,といった具体的で興味深い話題から物理の本質に迫っていく.とくに,古典力学の確立に重要な役割を果たした天体運動については,くわしく解説した.
第I部 現象から理論を予測する
第1章 円運動と回転座標系
第2章 地球の自転と慣性力
第3章 惑星の運動
第4章 衝突
第5章 振り子とこまの運動
第II部 数学編
第1章 行列式・逆行列・陰関数定理
第2章 線型空間
第3章 計量線型空間
第4章 重積分
第III部 物理編
第1章 3つの保存法則
第2章 平面運動および非慣性系
第3章 中心力による運動
第4章 散乱問題
第5章 剛体の運動