初等整数論の魅力を堪能しよう!
概念ばかり学んで使えるようになりにくい初等整数論ですが、本書はこの分野の「ことば」である合同式に関する問題を多数取り上げ、解きながら理解を深められるようになっています。
具体例から始め、なるべく高校数学の知識で読めるようやさしく解説し、発展的な箇所もていねいにフォローしています。
硬い教科書スタイルではなく、物語のように流れをもって書かれているので、証明など難しい部分を飛ばして読むだけでも、おもしろさや魅力を感じられることでしょう。
序盤では、オイラーの定理、中国剰余定理などの有名定理やインバースという重要概念を取り上げ、それらを使って具体的な合同式の問題を解いていきます。
中盤では、平方剰余の定理や原始根のほか、小学校以来なじみのある循環小数についても深く考察します。さらに複雑な合同式の問題にも挑戦していきます。
終盤では、中盤での話題に関連して、群論の基礎を解説します。また、ガウス整数などの必須のトピックスについて考察し、abc予想にも触れています。
初等整数論の世界に興味のあるすべての方に、おすすめの一冊です。