抽象的な概念と,道具として活かす計算手法の両方が,この一冊で学べます.
ルベーグ積分は,積分可能な関数が飛躍的に増え,極限操作が簡単になるなど,非常に便利な理論です.しかし,多くの書籍では,理論の説明が内容の大半を占め,その有用性にあまり触れることなく終わってしまいます.
本書は,ルベーグ積分の定義に基づいた計算の仕方や,それによる効果について,しっかり解説しています.また,測度の構成方法やフビニの定理など,理論についても厳密な説明をしています.
◆はじめの2章でルベーグ積分の全体像がつかめます.
定義から収束定理までの大枠の理論と計算例を,コンパクトに解説します.この部分だけで,ルベーグ積分の考え方や有用性を知ることができます.
◆その後は,2章までに学んだ基礎を補強していきます.
3章以降は,測度論の理論や計算手法について,掘り下げた解説をしていきます.たとえば,
・測度0の集合上での違いは積分に影響しないこと
・1次元区間上の積分に関する計算手法の整備
などです.単に定義や定理を順番に学ぶのでなく,全体の流れや,本質的に重要な点がどこにあるのかを把握しながら学習することができます.